おすすめ図書の紹介(2018年8月)

 若いころは、自分の時間を好きなように使えたので、話題になった本はすぐに購入し、片道約1時間の通勤電車の中で沢山本を読みました。

 現在は、子育てをしながら仕事もしているので、なかなかじっくりと読書の時間はとれませんが、それでも合間を見て読めるときには週末に寝ずに一気に読んだりしています。

 私の好きな本は、読んだ後、心があたたかくなるお話です。読んでいる途中、クスリと笑っても、ボロボロと涙を流しても、読み終わった後、心がほんわかとした本をご紹介します。

(河野(こうの))

『旅猫レポート』(有川 浩(ひろ) 著)講談社 2015年

 かぎしっぽのオス猫ナナとサトシの最後の旅のお話。猫目線でお話が進みます。私も猫を飼っているのですが(ナナと一緒のかぎしっぽ、オス猫)、「あぁ、うちの猫もそんな風に思っているのかなぁ」と笑ってしまいました。

 ラストは一番、こうなって欲しくないという結末で、しゃくり上げながら泣いて読みましたが、読み終わった後、爽やかな気持ちになり、本当に読んで良かったと思えた一冊です。ペットを飼った経験がある方、動物好きの方は是非読んでいただきたいと思います。

 

『大きな木』(シェル・シルヴァスタイン 作・絵,村上 春樹 翻訳)あすなろ書房 2010年

 これは、絵本なのですが、読む年齢、自分の立場によって感想や解釈がどんどん変わる不思議な本です。初めて読んだのは、小学生でした。(翻訳者と出版社は今とは違います。)父からのプレゼントでした。その後も、節目、節目に読み返していました。そしてプレゼントしてくれた頃の父とほぼ同年齢になり、改めて読み返して驚いたくだりがありました。ネタバレになってしまうのですが・・・。

 木は何度でも少年の願いを叶えてあげます。それで木は幸せなのです。でも、少年がやがて大人になり、「遠くへ行きたい」と言い出します。木は「舟をつくりなさい。」と自分の幹を大人になった少年にあげます。そして(文中、木が)「幸せに・・・なんてなれませんよね」と言うフレーズが出てきます。子供の頃の私は、こんなに何もかもあげて、切り株にされて、「ひどすぎる!幸せじゃないよ!」と思っていましたが、自分が子供を持ってみて、「木が幸せでないのは、何もかもを与えてしまったということではなく、坊やが舟に乗り遠くへ行って会えなくなってしまうのが悲しいのだ。」と思うようになりました。無償の愛を与えてもらうこと、無償の愛を与えること。更に私が年齢を重ね、また読んだとき、どんな感想を持つか楽しみな一冊です。