おすすめ図書の紹介(2018年6月)

 「読書の秋」ならぬ、「読書の梅雨」ということで、ジメジメしたこの時期におすすめの短編図書を紹介したいと思います。

 

『物語の終わり』(湊(みなと) かなえ 著)

 妊娠三か月で癌が発覚した女性、父親の死を機にプロカメラマンになる夢を諦めようとする男性などなど。人生の岐路に立たされて、北海道へ旅立ち、そこで「空の彼方」という結末の書かれていない小説を手渡される。果たしてそれぞれが出す結末は・・・。

 短編ですが、一つ一つのお話がリレー形式でつながっていて、最後に「こういうことか!」とすっきりです。湊さんの作品はあとでもう一度読み返してしまいます。珍しく人の死なない湊さんの作品ですが、お勧めです。

 

『いつか陽のあたる場所で』(乃南(のなみ) アサ 著)

 主人公の二人組の女性・・・人には絶対に知られてはならない過去があった。それは刑務所を出所したということ!人情味あふれる下町で過ごしながらも、前科持ちの過去を背負いながら、二人が前向きに生きていくお話です。本の中に出てくる警察官「髙木君」は同じく乃南アサ著「ボクの町」シリーズの主人公なのです。こちらもあわせてお勧めです。本来ミステリー作家さんですが、この両シリーズは心がほっこりする、ちょっと違った作品です。

満願(まんがん)』(米澤(よねざわ) 穂信(ほのぶ) 著)

謎多き6つの事件を収めた短編集です。フリーライターの「俺」が都市伝説を取材することになり、車の転落事故が多発する「死を呼ぶ峠」に赴き、ドライブインを経営するおばあちゃんに話を聞くのだが・・・。米澤さんの作品は、ややグロテスクなお話もあるので苦手な方はご遠慮ください。でも真相に辿り着きたくて、どの作品もぐいぐい吸い込まれるように読んでしまいます。後味はあまり宜しくないのですが(笑)、何故かはまってしまう世界です。

 「本は心の栄養です。」とは良く言ったものです。本を読んで元気になったり、色々な知識を身につけたり、考え方を学んだり、時には感動の涙を流したり・・・本を読んで成長していきますよね。人生の中でいったいどの位の本と出会えるのでしょう。皆様にも沢山の素敵な出会いがありますように。「いやぁ、読書って本当に良いもんですね!」ということで、締めさせていただきます。 

 (生活支援担当 F)