おすすめ図書の紹介(2017年12月)
2019年01月16日
視覚障害者にとって、写真を通して何かに感激したり、記憶をたどったりということは、なかなかしにくい、そうお考えの方も多いのではないでしょうか。全盲である筆者も例外ではありません。そして大の鉄道ファン!そんな私が紹介するのは、三好(みよし) 好三(よしぞう) 著『総武線120年の軌跡 東京・千葉を走る列車と駅のあゆみ』です。千葉点字図書館製作、音声デイジーで貸し出し・サピエ図書館からダウンロードが可能です。
その名の通り、総武線(東京・御茶ノ水~銚子間)の開業当初から現在までのあゆみを、豊富な写真とともに紹介しています。千葉県に長年お住まいの方、総武線に縁がある方には興味深い、懐かしい内容なのですが、何よりも圧倒されるのはたくさんの写真と丁寧に盛り込まれたその説明です。
先天性の全盲であるわたしにとって、写真やイラストは普段あまり関心の向く所ではなく、正直にいうと読書でも「ああそうなんだ~・・・」と流してしまいがちですがこの本は違いました。
かつて総武線を走っていた黄色い電車、全身青とクリームのツートンカラーの電車などが、あたかも目の前にあるような、もう廃車になってしまっているけれど、音が聞こえてきそうな、昔懐かしく、とても美しい物を見ていたようでした。もちろん、内容も大変詳しく、各駅の歴史や沿線の様子なども丁寧に解説されています。総武線の思い出を振り返ってみてはいかがでしょうか?
(石川)