おすすめ図書の紹介(2017年11月)

【警察小説】

 子どもの頃から探偵小説をそこそこ読んできましたが、最近は警察小説がおもしろいと感じるようになりました。気楽な探偵さんより、同じ勤め人である警察官のほうがより共感できるのでしょう。趣味の読書からいくつかご紹介します。

(石渡(いしわた))

 

『新任巡査』古野(ふるの)まほろ 新潮社 2016年

 最終的に巨悪が暴かれる小説ですが、半分以上が新任巡査二人の交番勤務の描写に費やされています。書評を読んだときは、単調な話なのかな?と思いました。ところが読みだすととまらない。新任巡査が必死に考え行動し、成長していく姿が清々しいです。

 

「隠蔽(いんぺい)捜査」シリーズ 今野(こんの)敏(びん) 新潮社 2005年~

 キャリア官僚の竜崎(りゅうざき)は、息子の不祥事のため左遷され、都内の警察署の署長となります。最初は冷ややかに見ていた署員たちは、竜崎の行動力や決断力、人柄に触れ、生き生きと動き始めます。現在、シリーズ8冊まで刊行中。

 

「特捜部Q」シリーズ ユッシ・エーズラ・オールスン 早川書房 2011年~

 デンマークの小説です。昨今、北欧ミステリブームと言われているものの、「何を読んだらいいのかわからない」という方にはまずこれをおすすめします。コペンハーゲン警察のカール・マーク刑事は捜査中に大けがをし、復帰後は過去の未解決事件を処理する新設部署を任され、難事件を解決していきます。どの巻もストーリー構成が巧みでおもしろいですが、個人的に好きなのは5作目の『知りすぎたマルコ』。組織から逃げ続ける少年マルコの行く末は? ハラハラドキドキ、そしてラストに心温まる場面も。シリーズは現在6作目まで刊行されています。