おすすめ図書の紹介(2019年8月)

『カモメに飛ぶことを教えた猫』 ルイス・セプルベダ 著 河野(こうの) 万里子(まりこ) 訳
 太った黒猫ゾルバが瀕死の状態のカモメのケンガーに誓った三つの約束。
「ケンガーが産む卵を食べないこと」「ひなが生まれるまで面倒をみること」「飛ぶことを教えること」
 猫には無理難題と思われるが、優しく気高い港の猫の信条にかけてそれを守り叶える為に個性的な仲間達と奮闘する。躍動感がありチクリとした風刺も交えながらユーモア溢れるテンポ良い会話が面白い本です。
 猫大好き人間の私は、タイトルの「猫」というワードと帯表紙の猫イラストに惹かれて購入。
「人間というのは不可解。ときに最高の善意から最悪の事態を引き起こす。」「君のおかげでぼくたちは自分と違っている者を認め尊重し愛することを知ったんだ。自分と似た者を認めたり愛したりすることは簡単だけれど、違っている者の場合はとても難しい。でも、君と一緒に過ごすうちにそれが出来るようになった。」この2つがすごく印象に残りました。
 猫とカモメという異種の愛情や交流を描いた作品ですが、そのまま人間の世界にも当てはまる話かもしれません。ヨーロッパでは1996年の刊行以来、「8歳から88歳の若者のための小説」と言われ多くの人に愛されているお話で、イタリアではベストセラーにもなったそうです。(劇団四季でも、ファミリーミュージカルとして上映しているようです♪)

(生活支援 横山)