おすすめ図書の紹介(2020年9月)

●生活支援担当より
『むかしのはなし』 三浦 しをん 著
 「今、昔話が書かれるとしたら」という視点に立って、7つの日本昔話になぞらえた短編が書かれている。読み始めは短編同士が独立しているように感じるが、それらは“地球が3か月後に終わる”という危機に向かってリンクしていく。日本昔話がどのように現代風に書き換えられているか読み取るうちに、いつの間にか繋がっていく物語に引き込まれ、不思議な余韻が残る印象的な物語だ。

『X’mas Stories 一年でいちばん奇跡が起きる日』
 朝井 リョウ、あさの あつこ、伊坂 幸太郎、恩田 陸、白河 三兎、三浦 しをん 著
 クリスマスという一日を、6人の作家が様々な設定で描いている。伊坂幸太郎の「一人では無理がある」のストーリー設定には驚き笑い、あさのあつこの「きみに伝えたくて」はぞっとしたり泣けたり、三浦しをんの「荒野の果てに」はコミカルな笑いで締めてくれる。6作に共通するのは温かい人間関係だ。甚だ時期外れではあるが、テンポよく進むストーリーはどれも引き込まれる作品ばかりだ。

(生活支援 T)