おすすめ図書の紹介(2022年1月)

『弱いロボット』 岡田 美智男 著 医学書院 2012年
 ロボットと言えば? アトム、ドラえもん、鉄人28号、ターミネーター・・・。人を助ける、人の役に立つ、人のために、人に代わって、働く、戦う、危険な場所に行く。ところが岡田先生のロボットは正反対。何もしない、自力では動けない、モジモジしたり忘れたり。そんなロボットと接するうち、人のほうが動いたりしゃべったりし始めます。関係性や距離感、寛容さなど、様々なことを考えさせられる本です。

(事務局 石渡)

 

『Dの複合』 松本 清張 著 新潮文庫 1973年
 松本清張が自身の著作の中で気に入っているもののひとつとして、この作品をあげていました。内容は、売れない作家が、浦島伝説や羽衣伝説の取材で各地を巡る中、不可解な謎や殺人事件に巻き込まれていくというものです。次々と起こる事件や謎と、日本の地理や神話、古代史などが織り交ぜられ、徐々に引き込まれていきます。物語が大きく展開する後半は、館山、千葉、成田など千葉県内が重要な舞台となっています。昭和43年の作品ということもあり、ところどころ配慮すべき表現がありますが、とても面白い推理小説でした。

(事務局 岩澤)

 

『ブレイブ・ストーリー』 宮部 みゆき 著 角川書店 2003年
 小学5年生の主人公・ワタルは、転校生のミツルに誘われ、この世界とは違う “異世界・幻界(ヴィジョン)”へと冒険の旅に出る。全ては、幻界のどこかにいる運命の女神に自分の運命を変えてもらうために……。ミステリー作家として名高い宮部みゆきが、今では小説の一ジャンルとなっている(かもしれない)「異世界ファンタジー」ものを書いたらどうなるか。その 答えの一つがこの作品に詰め込まれています。長編のため破滅的な読書力の筆者は多大な時間がかかりましたが、読後の何とも言えない心地よさに感無量(個人の感想です)。

(とある事務員のおすすめ図書とやや斜め右方向からの解説)