おすすめ図書の紹介(2022年7月)

『シブヤで目覚めて』(アンナ・ツィマ著,阿部 賢一,須藤 輝彦 訳)河出書房新社 2021年
 主人公ヤナは、チェコで日本文学を専攻する大学生。アニメやサムライなど、日本が大好きで、好きなタイプは三船敏郎です。一方、渋谷には以前訪れた時に残したヤナの「想い」がさまよっています。
プラハのヤナと、渋谷のヤナの想い、そして明治生まれの作家「川下(かわした)清(きよ)丸(まる)」の小説が絡み合っていきます。
 チェコの日本マニアから見た日本や、プラハでのヤナの生活が面白く、チェコの歴史にも興味がわきました。川下清丸の小説はチェコ語からの翻訳とは思えないほど、近代日本文学っぽさが出ています。架空の作家だと知っているのに、もしかしたら存在するかもと検索してしまいました。

(音訳 M)

『六人の嘘つきな大学生』(浅倉 秋成 著)KADOKAWA 2021年
 超人気IT企業の最終選考に残った6人の大学生。与えられた課題は、最高のチームを作り上げグループディスカッションをすること。うまくいけば、6人全員が内定を勝ち取るはずだった。だが本番直前に、課題内容が「6人の中から1人の内定者を決めること」に変更。仲間だったはずの6人は、ひとつの席を奪い合うライバルに・・・。内定を賭けた議論が進む中、6通の封筒が発見される。
 2022年本屋大賞ノミネート作品。全ての伏線回収が素晴らしく、読み終えた後、もう一度最初から読みたくなってしまうこと間違いなし。

(音訳 O)

『きたきた捕物帖』(宮部 みゆき 著)PHP研究所 2022年
 岡っ引き・文庫屋の千吉親分がふぐの毒にあたって亡くなってしまった。十六歳の北一は千吉親分の本業だった文庫売りをして生計を立てている。
 岡っ引きとしてはちょっと気弱な北一と、のちに出会う湯屋の釜焚きの喜多次と「きたきたコンビ」として、事件や不思議なできごとをおかみさんや周りの人達に助けられながら解き明かしていく物語です。
 先が気になり読んでいくうちにどんどん引き込まれていき、あっという間によんでしまいました。

(音訳 O.N)