おすすめ図書の紹介(2023年4月)

『セカンドチャンス』(篠田 節子 著)講談社 2022年
 20年余りの介護を終え、母を見送った50代の独身女性・麻里(まり)が主人公。体質改善のため、水泳教室の入会をためらう麻里に、友人の千尋(ちひろ)が「自分ファーストにしな」と背中を押し、水泳教室に通い始める。
 この本は、水泳教室での出来事が話の中心だが、単なるダイエットやスポーツの小説ではない。今まで人に尽くしてばかりで、自分を優先しなかった麻里が、水泳で体を動かす内に、気持ちも徐々に前向きになり、健康を取り戻していく姿が勇気づけられる。

 

『三千円の使いかた』(原田 ひ香 著)中公文庫 2021年
 この本はテレビドラマの原作で、「家計の節約」をテーマにした小説。主人公の御厨(みくりや)美帆(みほ)を中心に、姉の真帆(まほ)、母の智子(ともこ)、祖母の琴子(ことこ)が登場し、それぞれの立場から物語が展開する。
 その中でも、祖母・琴子の「人は三千円の使い方で人生が決まる」という言葉と、美帆の会社の元先輩・街絵(まちえ)の「人生はいつからでもできることがある」という言葉が印象に残った。
 お金に対する価値観はそれぞれ違うが、節約に関する情報も多く面白かった。

(貸出担当 K)

 

『日本史を暴く』(磯田(いそだ) 道史(みちふみ) 著)中公新書 2022年
 本書は、歴史学者で映画『武士の家計簿』の原作者・磯田道史が、戦国時代から幕末維新までの古文書を解読し、歴史の裏ばかりを集めています。地球儀を持っていた信長は「地球は球体」を家臣や子供に教えひろめようとした、完成した二条城を見て「大きすぎる」と怒った家康の築城思想、忠臣蔵のラストシーンが変わるかもしれない赤穂浪士の儀式、藩主を感染症から守るためにとられた対策、カブトムシ史など。
 災害、疫病など現代社会が抱える問題や著者のエピソードを交えながら書かれています。歴史好きの方におすすめの一冊です。

(竹田)