おすすめ図書の紹介(2023年9月)

『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』(佐々 涼子 著)集英社文庫 2014年
“国際霊柩送還士”…おそらく誰もが聞いたことのない職業だが、国境を越えて遺体を故国へ送り届ける
仕事である。それは、海外から日本への送還はもちろん、日本から海外への送還もある。ノンフィクションの作品で、この、平たく言えば“葬儀屋さん”の、丁寧な遺体処理から生前と変わらない姿への復元は、事故、事件、自殺、様々な理由により海外で亡くなった人の遺族のグリーフケアとなるという。タイトルの“エンジェルフライト”の響きとは想像もつかない、彼らの過酷な仕事ぶりを綴っている。
第10回開高健ノンフィクション賞受賞作。最近、Prime Videoより米倉涼子主演で配信され、話題になった。

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『エンド・オブ・ライフ』(佐々 涼子 著)集英社インターナショナル 2020年
第10回開高健ノンフィクション賞受賞作、『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』と同じ著者の作品で、今作品は、本屋大賞2020年ノンフィクション本大賞を受賞。
京都にある在宅医療を行っている診療所の患者の最期を追いながら、終末期のあり方を考える。
中心となっているのが、この診療所に勤めている男性看護師のエピソードで、そのためにこの著書を書き上げたと言っていい。この男性看護師がこれまで関わってきた患者の最期が、自身の最期にどう影響を与えていくのか…。
7つのエピソードが書かれているが、どれも涙なしには読み進めない実話。“「命の閉じ方」をレッスンする。”

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