おすすめ図書の紹介(2023年10月)

『つまらない住宅地のすべて』(津村 記久子(きくこ) 著) 双葉社 2021年
本書は、とある住宅地に刑務所から逃亡した女が向かっているかもしれないという噂から近所の住人たちと交代での見張りをきっかけにそれまで交流のなかった住人たちが関わり合っていきます。住人たちはそれぞれ問題を抱えていましたが、交流を持つという小さな出来事をきっかけに問題は解決には至らずとも良い方向に向かっていきます。心を揺さぶるような感動があるわけではないですが、じんわりと心が温まる物語です。

『王女とドラゴン』(ピアズ・アンソニー 著) 早川書房 1989年
小さい頃、絵本の読み聞かせにすっかり飽きてしまった母が、読んでいる本の中で子どもに読み聞かせして差し支えないと選んだ本がこの本でした。
魔法の国ザンスという誰もが1つは魔法を持っているという国の王女アイビーがこの物語の主人公です。
アイビーは国に危機が訪れている最中、行方不明になってしまいます。両親の心配をよそにアイビーは、ヒューゴーという少年とドラゴンと一緒に冒険の旅に出てしまいます。当時、自分より少し年下の女の子がドラゴンと旅に出るという話に魅了され、毎日母に続きをせがんだのを覚えています。この本はシリーズ物で、他にアイビーの父であるドオアと蜘蛛のジャスパーが旅に出る『ルーグナ城の秘密』も大好きでした。
後にシリーズを読み直したのですが、大人になって読んでも面白かったです。

菅野(かんの)