おすすめの図書(2023年12月)

『サンタクロースの贈物クリスマス×ミステリーアンソロジー』(新保(しんぽ) 博久(ひろひさ) 著)          河出(かわで)書房新社 2021年
もう12月ですね。クリスマスはどのように過ごされるご予定でしょうか?街のいたるところでクリスマスソングが聞こえてきますね。ハッピーな雰囲気に包まれてきます。そんな中、今回はクリスマスとミステリーをかけた「サンタクロースの贈物」をご紹介いたします。アーサー・コナン・ドイルやO・ヘンリーなどいろいろな作家のクリスマスにまつわる短編13編が集められています。個人的にはアガサ・クリスティの「クリスマスの悲劇」がテンポよくお話の世界に飲み込まれました。 短編集なのでお忙しい年末にもぴったりです。
ぜひ皆さんもミステリーのお話をお楽しみください。

(のぞみ 鳴田(なるた))

『伝言猫がカフェにいます』(標(しめ)野(の) 凪(なぎ) 著)PHP文芸文庫 2022年
表紙に猫、タイトルに惹かれて手に取った本。連作短編集で猫目線の話が進み、隙間時間でも読みやすい。
 虹の橋を渡った猫ふう太が、現世と黄泉を行き来して、もう会えない人からの想いを届ける伝言猫のバイト話。     5回想いを届けられれば、ご褒美にふう太は飼い主の女の子に会いに行ける。
 5話それぞれに想いの届き方に人生模様があり、ジーンと心あたたまり、想いが通じてよかったと思えるお話ばかり。最後、ふう太が飼い主に会いに行く話は涙するでしょう。
 天国にいる会いたい人やペットは、姿を変えて会いに来ているのかもと思うと嬉しくなる。会えたら何を伝えますか?     

(のぞみ 櫻田(さくらだ))

『逆ソクラテス』(伊坂 幸太郎 著)集英社 2020年
歴史上の人物や著名な格言等の「逆」や「非」をテーマにした伊坂幸太郎の短編集。
古代の哲学者ソクラテスの言う「無知の知」の「逆」とは。
車に姿を変えて世を忍ぶ創作上の宇宙人オプティマスの「非」とは。
初代アメリカ大統領ワシントンの「逆」とは。
どこか皮肉めいた各物語の中に散りばめられた、「価値観」の在り方へのメッセージは、しん、と頭と心の片隅に残るものがあります。
まあまあ難解な著者の作品の中でもサクサク読めるおすすめです。      

(のぞみ 山口た)