おすすめ図書の紹介(2022年2月)

『感染症は世界をどう変えてきたか―― 人類とウイルス・病原菌の攻防史』内藤博文 著 河出書房新社 2020年
 有史以前から人類は感染症との闘いの歴史でもある。ペスト、マラリア、梅毒、コレラ、天然痘、黄熱病、チフス、スペイン風邪、HIV、SARSは、世界の構造とわれわれの生活をどう変えたのか。宗教を生み出し、新しい秩序を作りだしてきた。古来、人類は疫病に脅かされ続けてきたが、その流行は新たな時代を産み落としてもいた。19世紀に疫学が発展、悪疫を克服したかに見えたが、大規模開発とグローバル化は戦争の長期化や未知の感染症を招いていた…。今回の新型コロナ禍は人類と感染症の新たな攻防の始まりである。全国学校図書館協議会選定図書でもある本書はいま必読の書ではないだろうか。

(今野)

『定年ラジオ』 上柳昌彦 著 三才ブックス 2018年
 アナウンサーへと導かれし頃、その場にいた東日本大震災、退職の日そして前立腺がん…。元ニッポン放送アナウンサー上柳昌彦が、“粋”な戦友たちと紡いだ36年のサラリーマン人生を綴る。元ニッポン放送アナウンサーとあるが、現在も早朝の番組を担当している。私は、ニッポン放送のヘビーリスナーと自負していて、著者の声にひかれている。

(S・T)