おすすめ図書の紹介(2022年6月)
『あなたのぜい肉、落とします』 垣谷(かきや) 美雨(みう) 著 双葉文庫 2019年
「私の個別指導を受ければ、誰もが痩せられる」という、ダイエット本の執筆者・大庭小萬里(おおばこまり)。この小萬里に個別指導を受ける4話。依頼人はその後、それぞれ体形だけではなく、そもそも別の問題点があることに気づいていく。小萬里のバッサリと遠慮のない言葉。依頼人は人として大切なことを発見し、心のぜい肉も落としていく。読み終わった後の爽快感は格別です。
(S)
『今はちょっと、ついてないだけ』 伊吹(いぶき) 有喜(ゆき) 著 光文社 2016年
若くして人が羨むような成功を手に入れた後、人が気の毒に思うほどのどん底に落ちた主人公、立花浩樹。40代になった立花が、あるきっかけでからもう一度歩き始めます。そんな彼の周りの人生を立ち止まっていた人たちも、また歩いてみようかと思い始めます。若い頃のようにがむしゃらに走るわけではないけれど、自分もやれるかもしれない。やってみようか。仲間と一緒なら歩けそうな気がする。読んでいる人も自分に置き換えながら読めます。今、立ち止まっている人には「今はちょっと、ついてないだけ」と背中をさすってくれる一冊です。2022年4月に映画化。
(O)
『コンビニ兄弟――テンダネス門司港こがね村店』 町田 そのこ 著 新潮文庫 2020年
コンビニを舞台に、名物店長兄弟とその周りの個性豊かな人たちを描いた作品です。店長兄弟の、コンビニを訪れる人への何気ない気遣いで、問題を抱えている人の心をほぐしていくというストーリーが心地よく、読み終わると心がほっこりと温まります。
この作品は主人公の違う6話がつながれてできているので、本を手に取る時間があまりないという人にもおすすめです。続編も出版されたので、ぜひそちらも読んでみてください。
(M)