改元を機に読書の海へ

 風薫る5月となりました。今年は天皇の退位と新天皇の即位がある特別な年ですので、月日の移ろいにも厳(おごそ)かなものを感じます。

 センターは勝手ながら暦通りの休みをいただいておりますので何かとご不便をおかけしているのではないかと気をもんでおります。これまで年末年始でさえ、これほどの長期休館はありませんでしたのでなおさらです。

 先月号で駄文を披露し恥ずかしい思いをしていましたところ、ある利用者の方から「ああいうのが生のあんたのようすがわかっていいんだよ。」という思いがけないメッセージをいただきました。本当にありがとうございます。このつたない文章も26回目となります。

 昔から気持ちが苦しくなると本の世界へ逃げていたのですが、最近はそれもかないません。そんななかで『平場の月』(朝倉かすみ著)を読みました。久しぶりに真夜中に泣きました。すっきりはしませんし読後感もいいとはいえませんが50代になってもこんなプラトニックな関係が持てるんだという一種の驚きを禁じ得ませんでした。そういう意味ではすごい本です。元男子の青砥と元女子の須藤が50代になって偶然出会い、須藤が病にたおれるというストーリーとしては単純なのですがお互いの心の移ろいが新たなストーリーを作っていくという物語です。同窓会物はどろどろしたものが多いですが、驚くほどさっぱりしています。デイジー図書はすでにサピエにアップされています。点字図書は今年の11月頃完成予定です。読むものがなくて困ったときのためにいかがでしょうか。

 自分の読書遍歴をさらけ出しているようで恥ずかしい限りですが、改元と共に季節もよいので読書にいそしんでみてはいかがでしょうか。

 多くの皆様に支えられ、私たち職員一同これからも、これまで以上に皆様に利用していただける施設づくりを目指しますので今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。