文学にまつわる賞あれこれ

 月日の経つのは早いものですね。もう6月です。子供のころはまだ6月。科学的にいえば年数と経験の積み重ねによるので年齢があがるほど早く感じるとのことですが感覚的なものですので個人差も大きいのでしょうね。

 梅雨入りがいつになるかわかりませんが、うっとおしい時期は読書がお勧めです。

 先月号でご紹介した朝倉かすみさんの『平場の月』が今年度の山本周五郎賞を受賞したという報道に接しました。自分が感銘を受けた本が賞をとると嬉しいものです。余談ですが、1993年(平成5年)宮部みゆきさんの『火車』が山本周五郎賞を受賞しています。直木賞候補にもなっていましたので期待していたのですが惜しくも選に漏れたことを覚えています。その時の直木賞受賞作は出久根達郎さんの『佃島ふたり書房』でした。

 出久根達郎さんの著書には特別な思い出があります。その当時担当していました音訳ボランティアの方々の養成講座のなかで録音課題として『本のお口よごしですが』を数年にわたり使わせていただいておりました。これはベテランの音訳者の方からのご指導、ご助言をいただきながら成長させていただいたという感謝の気持ちにもつながります。出久根達郎さんとは一度お会いする機会があり音訳関係で著書を使わせていただいていることを申し上げるとかえって恐縮されたお姿に親近感を覚えました。著名になっておられましたが偉ぶらず気さくな方でした。2016年(平成28年)から日本文藝家協会の理事長を務めておられます。

 当時、養成講座で苦労された皆様はベテランの音訳者になり日夜利用者の皆様の情報提供に携わっていただいております。今月も本の話題で失礼しました。

「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律案」(通称:読書バリアフリー法)の成立もまじかとなったと聞きます。来月号でご報告できればいいのですが。

多くの皆様に支えられ、私たち職員一同これからも、これまで以上に皆様に利用していただける施設づくりを目指しますので今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。