新型コロナ緊急事態宣言のなかで

 5月になりました。本来なら、風薫る新緑のよい季節のはずですが、4月7日に発令された特措法に基づく新型コロナ緊急事態宣言のなかで迎えることとなりました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。さまざまな規制がかかるなか、ご不便な思いをされているのではないかとお察し申し上げます。4月中は私どももその時々で苦渋の選択をしてきました。この未曽有の事態が1日でも早く終息するようにとの願いを込めてでした。
 このようななかで、図書の貸出数が伸びているという報告を受け、事業継続できている喜びを感じます。ただ、多くの方が殺到されるとおひとりおひとりへのサービスが十分でなくなってしまうことにもなり、心苦しいところです。特に、政府からのさらなる出勤抑制要請にこたえるため15日以降は出勤職員数を4割ほどしぼりましたので更にご不便をおかけしています。
 こんなときに本の話題を出すと叱られそうですが、2020年の本屋大賞受賞作が決定しました。凪良(なぎら)ゆう 著『流浪(るろう)の月』です。著者の凪良ゆうさんは、これまで男性同士の恋愛を扱ったBL図書を多く執筆してきました。BLとはBOYのBとLOVEのLからとったものです。昨年は朝倉かすみさんの『平場の月』で年甲斐もなく大泣きをしたことをこの欄で書きましたが、今年も泣けました。文(フミ)と更紗(サラサ)の物語と一言ではいえない人間の心根をえぐられるような感覚でしたが文体がすばらしいんです。あまりいうとネタバレになってしまいますのでここまでにしますが、多くの書店員が感動し、多くの読者に薦めたいという気持ちはよくわかりました。すでに点字図書も音声デイジー図書もサピエにアップされていますので、是非、ご利用ください。
 5月中には、新型コロナウイルスも終息に向かっているよう願うばかりです。まずは、緊急事態宣言の解除が待たれるところです。センター内もいつでも皆様をお迎えできるよう体制を整えておきたいと思います。
 多くの皆様に支えられ、私たち職員一同これからも、これまで以上に皆様に利用していただける施設づくりを目指しますので今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。