「ありません」といわないサービスの提唱から40年
(おまけ!偏見に満ちた読書案内)

                                所長  川崎 弘

 11月になりました。世の中、秋たけなわです。相変わらずのコロナ禍ではありますが季節は確実にめぐっています。旬の食材も店頭に並びそれだけみていますとなんら変わらない日常のように感じてしまいます。皆様お変わりございませんか。

 10月初旬より若干ではありますがセンター内の部屋貸し出しにおける人数制限を緩和しました。おおむね定員の半分だったところを3分の2程度としました。一気に元通りとはいきませんが感染対策を講じつつ早い終息を願うばかりです。ご不便をおかけしますがご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

来年2021年10月に千葉点字図書館は開設70周年を迎えます。歴史に思いを馳せ未来を見つめたいと思います。1951年当時点字図書館は全国に10館もありませんでした。どこも公的な補助はなく篤志家の寄付により運営されていました。1955年以降、75年にかけ点字図書館のない県には県立の点字図書館が開設され現在に至っています。70年代までは全国組織もなく有志で集まってサービスの在り方が議論されてきたようです。

1980年に現在の全国視覚障害者情報提供施設協会(全視情協)の前身である全国点字図書館協議会が結成され、全国一律のサービスを目指す動きが始まりました。翌1981年より国立国会図書館が『点字図書・録音図書全国総合目録』の発行を開始し、図書館間での相互貸借ができるようになりました。当時はもちろん分厚い紙媒体です。希望された図書を探し、なければ作るという「ありません」といわないサービスがやっとできるようになったのです。その後、重複製作を避ける仕組みづくり、点字、音声とも製作基準の制定が行われ、1988年の「てんやく広場」の開設を経て、2010年のサピエ図書館につながっています。私も後半の35年ほどを経験していますので細かいことは折にふれお知らせしていきたいと思います。

さて、おまけです。来年、46年ぶりに『日本沈没』がテレビドラマ化されるという情報を得ました。1974年から75年にかけ実写ドラマとして放映されて以来となります。当時、私は11歳から12歳にかけてでした。日曜夜8時からの放映をドキドキしながら見ていた記憶があります。フィクションながら迫力がありました。原作は小松左京の同名の小説によります。ドラマを見てからこの新書2段組みの上下本を必死に読んだ覚えがあります。最近、部屋を整理していましたら、いまはなき書店のカバーがかかった初版が1973年のものを見つけました。潜水艇「わだつみ」に乗った小野寺と田所博士との緊迫のやり取りとともに、様々な人間関係、男女関係も織り込まれ、これを小学生の頃、読んでいたのかと驚愕しました。この上下本が第1部、2006年に第2部(日本が沈んだ後のこと)が刊行されています。点字、音声デイジーでサピエにもアップされています。読むものにこまった際にどうぞ。おまけを終わります。

多くの皆様に支えられ、私たち職員一同これからも、これまで以上に皆様に利用していただける施設づくりを目指しますので今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。