同年齢の作家の紹介と未来への決意を込めて

                                所長  川崎 弘

 12月になりました。1年の締めくくりの月となります。
今年の1月号ではオリンピック、パラリンピック開催で
長く記憶に残る年になる云々と書きました。
その後、コロナ一色となり第3波の到来など考えようもありませんでした。
皆様には長期にわたりご不便をおかけしております。早い終息を願いつつ、
感染拡大防止に努めたいと思います。
さんざんな年でしたが来年こそは良い年となりますよう願います。
まだまだ早いですがよいお年をお迎えください。

 さて、自分と同年齢の作家に重松清さんがいます。
あたりまえの話ですが私が10年歳を取れば彼も10年歳を取ります。
自分のつぼにはまるといいますか、馬が合うといいますか共感の持てる作家のひとりです。
我が家では朝日新聞を購読しています(といっても私しか読んでいませんが)。
朝刊の連載小説として『ひこばえ』が2018年6月から1年にわたり掲載されました。
週刊誌や月刊誌の連載も大変ですが、朝刊の連載ですから難儀しました。
もちろん、飛ばした回も多いです。
全編をとおして自分(息子)と父親(死別)との関係がテーマです。
私も早く父親を亡くしましたのでかぶる部分が多く後半は泣きながら読み進めました。
(最近、涙もろくなりました。)
それが上下巻の単行本となり、サピエ図書館にも点字と音声デイジーで登録されています。
彼の作品は重いテーマのものが多いですが、
最後になんらかの希望が持てるのが救われるところです。
『ひこばえ』に限らず読む本に困った際はおすすめです。

 先月、千葉点字図書館の歴史に少しだけ触れたところ、
稲毛時代を懐かしむお声をいただきました。
裏にありました愛光学園(盲児施設で平成6年3月で廃止)から
千葉盲学校へスクールバスが出ていましたので、
今以上に盲学校とのつながりは強かったのかもしれませんね。
私も四街道への移転前を知る数少ない職員の一人になってしまいました。
その時代時代にあった最良のサービスを提供し続けてこられたかは反省として、
常に未来に希望を持ちたいと思っています。

 多くの皆様に支えられ、私たち職員一同これからも、
これまで以上に皆様に利用していただける施設づくりを目指しますので
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。