千葉点字図書館が開設70周年を迎えました
秋葉博子さんを偲ぶ

                                所長  川崎 弘

 

 10月を迎えました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。お変わりございませんか。

 8月2日より千葉県は3度目の緊急事態宣言の発令となり、延長を重ね9月末まで継続しました。皆様にはこの期間、多大なるご不便をおかけしましたことお詫び申し上げます。ワクチン接種は進んでは参りましたが、今後も感染対策を施しながらの事業運営となります。引き続きご協力いただけますようお願い申し上げます。

 さて、先月号でも触れました通り、10月1日に千葉点字図書館は開設70周年を迎えました。これもひとえにこれまで長きにわたりご支援いただいた皆様、ご利用いただいた皆様のおかげです。感謝申し上げますとともに、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

 私はこれまでこの拙文のなかで職員については触れてきませんでした。今回はお許しをいただき思いを書かせていただきたいと思います。よろしければお付き合いください。

 私は1991年(平成3年)4月よりこちらでお世話になっております。お世話になるきっかけをいただいたのは元職員、故秋葉博子さんでした。秋葉さんとは1986年(昭和61年)大学卒業後お世話になった日本点字図書館の元職員ということもあり都内でお会いしたのが始まりです。

 当時、彼女は上智大学の図書館勤務で翌年より千葉点字図書館の貸出担当として勤務されることとなりました。視覚障害者への情報提供のあり方について熱く語っていただき当時有志の職員で結成していた点字図書館問題研究会でも中心的な役割を担っておられました。同僚として働かせていただいた期間は14年ほどでしたが思いを引き継げたかどうか。

 ご家族の介護のため2005年(平成17年)7月に早期退職をされましたが、その後もボランティアで千葉点へ来ていただきながら、世界盲人百科事典の改訂編纂に携わっておられました。その資料収集のため訪れた千葉市中央図書館前の交差点でトラックにはねられ帰らぬ人となりました。2006年(平成18年)10月のことです。享年57歳。葬儀後にご実家にてご両親にお話を伺うことが出来ました。視覚障害者の読書についての並々ならぬ思い、きっと心残りがいっぱいあったのだろうと思います。

 今年はそれから15年です。サピエ図書館がここまで発展することをみることはできなかったけれど、その思いは根柢のところで引き継がれていると信じたいと思います。今を生きる私たちは多くの先人の苦労、思いを受け継ぎながら心して業務にあたりたいと70周年を節目に思いを新たにしています。

 多くの皆様に支えられ、私たち職員一同、これからも、これまで以上に皆様に利用していただける施設づくりを目指しますので今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。