視覚障害者への情報提供保障を聴覚障害者なみに!

                                所長  川崎 弘

 11月になりました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。お変わりございませんか。

 いつも感染予防にご協力いただき感謝申し上げます。感染者数自体は集計の方法が変更されたこともありますが減少傾向です。(10月15日現在)ただ、インフルエンザとの同時流行の懸念も取りざたされています。政府の意向に歯向かうようで恐縮ですがセンター来館の際にはマスク着用、手指消毒等、引き続き感染対策にご協力いただきますようお願い申し上げます。

 さて、10月12日(水)~13日(木)にかけ大阪にて第47回全国視覚障害者情報提供施設大会が開催されました。主催は全国視覚障害者情報提供施設協会(全視情協)です。サピエ図書館の運営をつかさどる団体です。本来であれば山形市でリアル開催の予定でしたが、準備段階でコロナの爆発的な感染状況がみられたため、運営者プラス近隣の施設のみが会場参加(約25名)とオンライン(約370名)のハイブリッド開催となりました。私は副理事長の役目をいただいているため現地スタッフとして全体会1の進行等で関わりました。

 当日はパネラーの多くがオンライン参加だったため進行もなかなか難しいものがありましたが、もう一人の副理事長である堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター所長の原田敦史氏の基調報告(昨年度全視情協で実施した厚労省の調査研究事業の評価)に続き、点字図書館(名古屋ライトハウス情報文化センター)、公共図書館(千葉県立中央図書館)、利用者(三重盲学校教諭)の3名によるパネルディスカッションを実施しました。視覚障害者の読書環境向上に向け熱い討論が会場、オンラインを通じ展開されました。翌日、私たちの事業を管轄する厚生労働省自立支援振興室の奥出室長より講演をいただき、今年度も私たちとの協議の場を持っていただくことになりました。

 いくつかの大会決議の中で、「高齢化と漸減が進む点訳・音訳ボランティアの養成を強化するため、国に対し、『身体障害者社会参加支援施設(いわゆる点字図書館)の設備及び運営に関する基準』において『校正員又は音声訳指導員 1以上』とされている職員配置基準を『各1以上』に改めるとともに、障害者総合支援法において都道府県・市町村の『任意事業』に留められている『点訳・朗読奉仕員等養成研修』事業を『必須事業』に改めることを要望する。」について解説します。聴覚障害者へ対しての情報提供は手話通訳者や要約筆記者の養成が都道府県・市町村の必須事業(必ずやらなければならない事業)であるうえに各人に報酬が保障されています。それにひきかえ視覚障害者への情報提供は、最近、代筆・代読の動きは始まったものの、読書バリアフリー法制定から3年以上が経過した中でいまだに無償の点訳、音訳ボランティアの働きに委ねられている現状です。なんとか打開したいというのが私たちの願いです。また、前後して恐縮ですが、点字図書館の職員配置基準に点字指導員は1名明記されているのに、音訳指導員は「(点字)校正員又は音声訳指導員1以上」(つまりどちらか1ということです)で必ず配置しなければならないことになっていません。これだけ音声デイジーをはじめ録音図書・雑誌が製作されているにも関わらずです。皆様の力強いお力添えをお願いします。

 多くの皆様に支えられ、私たち職員一同、これからも、これまで以上に皆様に利用していただける施設づくりを目指しますので今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。