週刊朝日休刊に思う

                                所長  川崎 弘

 

 6月になりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。お変わりございませんか。

 新型コロナもようやく5月8日から感染症分類がインフルエンザと同様の5類へ移行しました。ただ、油断は禁物ですのでなんらかの兆候があった際はこれまで同様感染拡大防止に努めてまいります。

 さて、週刊朝日が5月30日発売の6月9日号をもって101年の歴史に幕を下ろしました。

休刊が発表されたのは本年1月19日でした。同日付の朝日新聞デジタルに(以下、引用)「週刊朝日は1922(大正11)年に創刊し、昨年2月に創刊100年を迎えていました。山藤章二さんの「ブラック・アングル」や「似顔絵塾」、司馬遼太郎の「街道をゆく」、世の中に埋もれたB級ニュースを発掘した「デキゴトロジー」など・・・」(引用終わり)と記述があります。最盛期には100万部を超えていた発行部数も10万部を切るようになったのでは採算も難しくなったのでしょう。休刊発表でショックを受けてから4ヶ月が経過し、とうとうその日を迎えてしまいました。時には権力に切り込み、読者を大切にする視点もぶれることなく、バランスのとれた雑誌でした。音訳版を聞かれた感想が本誌の読者からのコーナーに掲載されることもありました。これからはデジタル版へ移行していくのでしょうが時代の趨勢には逆らえないのでしょうか。

 千葉点字図書館で週刊朝日音訳版の製作が開始されたのは1971(昭和46)年のことです。52年の長きにわたり音訳ボランティアの皆様のご尽力により継続された事業です。私が入職した1991(平成3)年頃、マスターテープがオープンリールからカセットへ切り替わりました。

「週刊朝日と言えば千葉点」が定着していました。火曜日に雑誌が発行されると職員が2時間分の記事を選定し担当の音訳者へ伝え、金曜日に3名で録音していただき、職員がその場で校正し、訂正録音までその日のうちにしていただくという過酷なやり方でした。当時は音訳冒頭の部分にジョニー・ピアソンの「朝もやの渚」をかぶせていました。いまでもこの曲がラジオなどから流れてくると懐かしくなります。今では考えられないことですが他の雑誌や県民だよりにもそれぞれの曲をかぶせていました。

2008(平成20)年以降は全文音訳デイジー版に踏み切っていただけに残念でした。(しばらくはカセット抜粋版もあわせて製作していました。)サピエ図書館からのダウンロード数を含めますと1号当たり1,500名以上の利用があったこととなります。あらためてこれまでの皆様のご尽力に感謝申し上げます。

多くの皆様に支えられ、私たち職員一同、これからも、これまで以上に皆様に利用していただける施設づくりを目指しますので今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。