マラケシュ条約発効及び改正著作権法施行に思う
所長 川崎 弘
平成31年(2019年)が明けました。皆様お変わりございませんか。本年もよろしくお願い申し上げます。
本年はマラケシュ条約発効及び改正著作権法施行が1月1日、(仮称)読書バリアフリー法成立が通常国会中の予定と視覚障害者の読書に関わる動きが目白押しです。また、平成天皇の退位、新天皇の即位、消費税増税等、私たちの生活に関わる大きな動きがあります。
法人は設立3年目を迎えます。わくわくするようなことができるといいですね。
さて、マラケシュ条約発効及び改正著作権法施行を受け、いわゆる活字文書の読みに困難な方の枠が拡大されます。視覚障害者等と表現されますが、この「等」のなかに寝たきりの方、上肢障害の方、眼球振盪(しんとう)のある方が含まれることとなりました。
対象者が増えること自体は歓迎すべきことですが、法律の方が追いついていないところが多々あります。一つは郵便法です。視覚障害者については点字用郵便、特定録音物郵便等、第4種郵便として、点字はどなたとのあいだでも無料、録音は点字図書館等省令で認められた機関とのやりとりは無料となっていますが、視覚障害以外の方は有料となります。また、日常生活用具として支給対象となっている視覚障碍者用ポータブルレコーダー(プレクストーク)については視覚障害1級、2級の方に限られています。3級から6級の方及び他の障害の方は実費でしか求めることができません。以前、拡大読書器にも等級制限がありましたが、弱視者からの粘り強い働きかけで20年ほど前に撤廃されたいきさつがあります。(千葉県内では当時80ほどの市町村があり富津市が最後に撤廃してくれて喜んだ記憶があります。)全国一律の補装具(白杖が当てはまります)と異なり、日常生活用具はその判断の多くが市町村にゆだねられていますので、厚労省からの強い指導を求めたいところです。点字図書館等の全国組織である全国視覚障害者情報提供施設協会からも法改正にあわせ厚労省へ申し入れをしています。
法改正について動きがございましたらまたお知らせしたいと思います。
話しは変わりますが、先月号で「週刊朝日」作文コンテストの選考が進んでいるところまで紹介しました。「週刊朝日」佐藤編集長、県立西部図書館松井氏、千葉点字図書館音訳会花田会長、川崎、石渡で2次選考を実施し、各賞を決定しました。どの作品も甲乙つけがたい内容でしたため選考委員特別賞を増設することといたしました。
詳細は、センターからのお知らせ、巻末の入選作品集をお聞きください。
ご応募いただきました皆様に感謝申し上げますとともにご利用いただいている皆様、製作にかかわっておられる皆様、あたたかく見守っていただいている週刊朝日編集部のみなさまにあらためて感謝申し上げます。
多くの皆様に支えられ、私たち職員一同これからも、これまで以上に皆様に利用していただける施設づくりを目指しますので今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。